なぜ、優れたDXツールが自治体で導入されないのか
優れた機能・最新技術・高度なスペック。それでも越えられない見えない壁がある。機能的価値だけでは、自治体特有の「内部事情」を突破できない――自治体のDXが現場で止まる最大の理由は、技術の不足ではなく現場の納得感の欠如にある、という指摘から始まります。
下呂市の最大の「しくじり」は、システム導入ありきだったこと
最新システムを入れれば業務は勝手に効率化される――そうではなかった。下呂市は「効率化」という言葉を使うのをやめます。現場が本当に求めていたのは、目の前の面倒と不満の解消でした。コスト削減や効率化はあくまで結果であり、目指すのは人にしかできない寄り添う支援を生み出すこと(=「ぬくもりのDX」)。
順番は「ビジョン → 人を巻き込む → 実行」。ツールは最後
まず「なぜやるのか」を共有し、次に現場の共感と熱量を引き出して「これいいね!」と言ってもらう。ツールを導入するのはその後。また、「危機感」による変革はやらされ感と疲弊を招いて続かないため、「ワクワク感」を原動力にする、という組織づくりの話にもつながります。
自治体のマインドは、失敗体験を経て変わった
DX交付金初期は「ツール導入」自体が目的化し、評価基準はスペックの高さ・最新性。実証実験が乱立し、現場に定着せず失敗しました。現在は導入に対して極めて慎重で、評価基準は「現場で本当に使われるか」「運用が持続可能か」。確実な定着と持続性が最重要視されています。
「ニーズが分からない」を突破する3つのアプローチ
① スモールスタート/ビジョンは大きく、提案は最も小さな単位から始める。
② 共通言語への翻訳/自治体の最上位計画から、刺さるキーワードを拾う。
③ 運用サポートと成果/スペックを超え、住民への還元ストーリーを提示する。
「接点は作れるが導入が進まない」理由と、予算サイクルの逆算
自治体は2〜3年サイクルで人事異動があり、高度なITツールほど「引き継げないリスク」が生まれます。だから語るべきは「製品の凄さ」ではなく「業務フローの改善」。◯◯課の◯◯業務が手作業から自動化され1回あたり何分削減されるのか、という担当者のビフォーアフターです。
加えて、翌年度予算の要求準備は8〜10月。どんなに優れた提案でもこの波に乗れなければ採用されず、逃せば導入は1年遅れます。
変革を加速させる5点:現場の違和感を起点にする/やらないことを決断する/対話で周囲を巻き込む/AIを優秀な相棒にする/「TTPA(徹底的にパクってアレンジ)」で小さく速く試す など担当者必見の内容!